昨年の6月に訪れた北海道・道東の旅のレポートがまだ途中になっていました。
ブログにアップしないうち、もうすぐまたその季節が巡ってきそうなので、その前に美しい写真とともに皆様へご案内いたします。
道東・弟子屈(てしかが)の硫黄山散策
今日のテーマは、弟子屈(てしかが)にある硫黄山(アイヌ語でアトサヌプリ)の散策についてです。夏至のタイミング、1年のうちで硫黄山が最も美しいと言われるその時期に訪れました。
川湯温泉の目の前に硫黄山(アトサヌプリ)があります。
今はもう硫黄の採掘作業はしていないけれど、いつ噴火してもおかしくないと言われているそうで、絶え間なく硫黄ガスが吹き出しています。
その硫黄山の目の前に広がる『つつじが原自然探勝路』は、行く前から心惹かれ、この場所をゆっくり歩きたいと思ったので、この地に詳しいネイチャーガイドさんに個人ガイドをお願いしました。
つつじが原自然探勝路
この散策路は、川湯温泉街から硫黄山までをつなぐ約3キロ、起伏はほとんどない平地にもかかわらず、標高1000m級の高山植物を見ることができます。硫黄山からの風や土壌が特殊な生態系を自然に作り出しているとのこと。
川湯温泉側から、硫黄山に向かって歩き始めます。
東京では考えられないほど、人は少なく、のんびりした空気が流れています。(そして驚くことに、この散策路は無料、さらに人はとても少なく、たまにすれ違う程度)
山に近づくに従って「アカエゾマツの針葉樹林」「針葉樹と広葉樹の林」「イソツツジゾーン」「背の低いハイマツ林」とどんどん姿を変えていきます。この短い距離にもかかわらず、非常に変化に富んだ散策路です。
私たちの行った6月中旬は、イソツツジが満開、一面真っ白なお花畑は圧巻でした。
何か異次元の世界へ誘われるような印象です。
帰ってから「今日は夢だったのかしら」とうっとりしてしまったほどでした。
イソツツジの群生は、山に近づくにつれて少なくなり、最後は、植物の生えない土地になります。
地下からは硫黄が今も絶え間なく噴き出す、大迫力の光景です。(激しい硫黄の匂いもしてきます。)
噴気孔の目の前は、圧巻。
絶え間なく吹き上がる噴煙を直に感じ、地球が生きていること、その鼓動がリアルに伝わってきました。
火のエレメント
アトサヌプリは強力な火のエレメントを持つ場所です。燃え上がるような地下からのエネルギーを感じます。
それもそのはずで、硫黄山から川湯温泉まで、絶えることなく高温の温泉が流れ着いているのです。その場所を独特な生態系に変えてしまうほどパワフルなエネルギーです。
その地上を歩き、自分の中の何かが火によって燃えきって、浄化が起こったように感じました。そして自分自身がとても軽くなったようでした。
動物と違って逃げることができず、どんな過酷な環境でも動くことをせず、その場所に自分を順応させて、たくましく生き延びていく植物たち。
この自然の力に感動が止まりませんでした。
そして咲き乱れる花の香りを味わい、葉や土に触れて、今までの悲しみや寂しさがすっと消えていくようでした。
硫黄の採掘と川湯温泉の歴史
戦前からの移り変わりについてもネイチャーガイドさんによって知ることができました。硫黄を掘り運び出す過酷な作業、そして川湯温泉の成り立ちや活気ある当時の様子と今、など。
ガイドさんから聞かなかったら、ただ美しい場所に酔いしれて、写真を撮るだけで終わっていたと思います。
元線路があった場所は、今は「青葉トンネル」とい名の静かな散策路となっていますが、どれだけ多くの人々が、硫黄採掘に携わっていたのか、その苦労があってこその、美しく豊かな自然です。
この散策のために、私たちは川湯温泉に前泊しました。
強酸性のお湯は、肌にとって抜群の効果で、美容的な立場からも、スパの施術メニューにぜひ取り入れたいと思うクオリティです。
昭和の時代から時を経てひっそりしている温泉街も、いよいよ大開発が始まるらしく、生まれ変わる川湯温泉と出会うのも、それほど先ではないように思います。
魂の旅
今まで国内で色々な聖地を巡る旅をしてきましたが、ようやく自分軸を保って気持ちをリラックスさせて旅ができるようになったなあと思いました。
スケジュールにばかり気を取られていた私が、自分の内側を見つめながらゆっくり巡る旅ができるようになった、探究の旅、魂の旅の集大成ともいえると思います。
写真が盛りだくさんになりました。
最後まで読んでくださってありがとうございました。